【特集】「地域」とつながる「学び」シンポジウム開催レポート

「地域」とつながる「学び」

平成25年度文部科学省「地(知)の拠点整備事業」の採択を受け、アクティブラーニング、サービスラーニング型教育体系や課題解決型教育体系などのカリキュラムを新たに導入し、地域の課題解決に取り組みながら、地域で活躍できる人材育成に取り組んでいる聖徳大学短期大学部。事業3年目、創立50周年を記念し、『「地域」とつながる「学び」』をテーマにしたシンポジウムが、2月13日に開催された。基調講演のほか、学生、教員による事例発表や地域社会を代表するパネリストたちと学生のパネルディスカッションを通して、1年間の事業の成果報告と活発な意見交換がなされた。

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基調講演

地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)と大学改革

講師:納谷 廣美
地(知)の拠点大学による地方創生推進事業選定委員会委員長
大学基準協会 特別顧問(前会長)
明治大学 前学長

社会の質的転換

なぜCOC事業、大学改革をやっているかというと、まず社会が変わってきてしまっているということを理解していただきたい。私たちは明治維新以来、近代化路線でものづくり国家としてやってきましたが、もう行き着くところまできてしまっています。日本の社会は、もう新しいものをただつくって売れればいいというような時代は終わっています。ものづくりはベースに置いても、そこに何か違う付加価値を付けていく。そういうことができる人材を、人間をベースにした教育の中でしっかり育てていくことが必要です。

明治維新の頃の日本の総人口は約3000~3500万人です。1億人を超えたのが1968年くらいで、2000年に入った頃に1億3000万人とピークになった。1億人に戻るのが2045年あたりでしょうか。人口的に見ても、現在の我々の時代からもう落ちていく段階に入っているなかで、65歳以上の高齢者が全体の4分の1と増え、社会の構造が変わってきています。

65歳以上が総人口の14%を超えると、「高齢化社会」じゃなく、「高齢社会」になるのです。この14%突破は20年前の1994年にすでに到達しています。そのころから本当は対策を練っておかねばならなかった。しかし、現実には切羽詰まっているわけですから、我々は、それを乗り越える知恵を出さないといけない。これからの日本の新しい生き方を生み出していくということを考えなければならないのです。

一方で世界全体に目を向けると、戦後、米ソの対立による二極化が続いてきましたが、1989年のベルリンの壁の崩壊と、1991年のソ連解体によって、20世紀の終わりにアメリカ主導によるグローバル化という一極化が進もうとしました。ところが、2001年のアメリカ同時多発テロや2008年のリーマンショックで、アメリカ一極で何かをやってもらうという時代は、もう終わったのではないかという信号が出たわけです。

BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)や、それに続く後進国の経済的・政治的な台頭によって、多様化やフラット化が進んでいます。一極ではないフラット化の時代では、G8などといわれていたG(大国)がなくなってしまうのです。誰がこの世界を主導していくのか、G1と言われていたアメリカのパワーが極端に弱まったらどうするのかということも考えて、これからは対策をとっていかなければいけないわけです。

そういう全体を見た中で政策を考えなくてはならないし、それに耐えられる人材をつくらねばならない。それが大学の役割であるし、さらにいえば幼稚園児、小学生といった小さな子どもの頃から育てていかなくてはならないのです。

大学COC事業の意義と狙い

今見てきたように世界はいろいろ変わってきていますから、当然、教育の質的転換もしなくてはなりません。パラダイムシフト――要するに価値観やものの考え方が変わってくる。明治維新のときにいろいろな改革をしましたが、大きな柱のひとつが教育改革です。人をつくって近代国家をつくっていくということを、国がお金をかけてやったのです。敗戦後もアメリカから民主主義を植えつけられ、制度をつくっていくと同時に、それに沿った教育をしていった。世界の基準に合わせて国家や人民を育ててきたわけです。

しかし21世紀に入り、日本の社会のあちこちで質的転換がなされていく中で教育改革だけが残ってしまった。変わってきている今の社会の中で、前例主義や修正対応程度で物事を考えるのではなく、そこにいる人間はどういう人間でなければならないか、そのためにはどういう教育をしなければならないか。大学人がそれを予測して、丁寧に自信をもって教育をやっていかなければなりません。「教育改革への挑戦」というのは非常に重要なことなのです。

我々大学人も反省しなければならないのですが、戦後、順調に人口が増えた中で、大学には黙っていても学生は来るし、いつの間にか卒業していった。いずれにしても、それで大学は経営できたのです。それがバブルの頃まで続いたのですが、その間、大学教育に「象牙の塔」的体質ができあがってしまった。こういう体質を変える必要がある。そのための社会連携、社会貢献なのです。

社会に実際どういうことが起きていて、そして、そのニーズを肌で感じるために、まず社会で活躍する人々と一緒にやってみて知ってもらいたい。それをきっかけに学生たちも社会の具体的なニーズに関心を持ち、先生たちもそれに沿った教育内容の方法を考えなければならない。COC事業の社会連携は大学改革に向けた「切り口」のひとつなのです。

現在、政府が「地方創生」政策を推進していますが、お金を出すだけでは社会基盤は整いません。地方の抱えている課題や、それを支えるにはどんな人材がいるかを踏まえたうえで、ニーズや状況に合ったお金を出せば地方が育つということです。そこで地域に根ざした大学が地域と話し合って、どういうものが必要なのかということを自覚した中で、政策なり、人材なりいろいろなものをつっこんで、大学の「知」を活用していかなければならない。そうすると、「これは面白い」ということで学生も勉強し、地域産業も活性化してくるのです。

日本の社会は10年単位のスピードで動いてきました。そして今、このITの時代はこれまでの10年分が1、2年で変わっていくというくらいの激しさです。しかも日本だけではなく、世界の動きの中で対応していかなければならない。それに耐えるためには知識もしっかり身につけなければなりませんが、それがすべてではない。それをどう使うかということを、このCOC事業を通じて学んでいかなくてはなりません。

お問い合わせ
聖徳大学・聖徳大学短期大学部
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