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心理教育相談所レポート

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【2019/06/15】

聖徳大学心理教育相談所主催研修会
「カウンセリングとは何か」

 令和元年615日(土)に、心理教育相談所主催研修会を開催いたしました。
 本研修会は、本学大学院臨床心理学研究科の修了生、在学生、本学教職員等を対象に行われました。主な目的は、研修を通して心理学に関する知識や技能を向上させることです。
 本学大学院臨床心理学研究科修了生の多くが、心理職として働いています。
そのため、本学では研修会の開催等を通して修了後もサポートをし、社会で活躍できる人材の育成に取り組んでいます。
 今回のテーマは、「カウンセリングとは何か」でした。講師として、平木典子先生(IPI統合的心理療法研究所)」をお招きしました。

カウンセリングとは何か
 カウンセリングは、心理職にとって最も基本となる仕事のひとつです。しかし、「カウンセリングとは何か」といざ問われると、一言で説明するのは、なかなか難しいかもしれません。
 カウンセリングとは、「来談者のつまずきを契機にした自己を探す歩みに同伴すること」であると、平木先生は最初にお話しされました。
 カウンセリングに訪れる人々は、何らかの悩みを抱えています。それは、自分の人生が転機を迎えているサインでもあります。カウンセラーは「同伴者」として、そのような転機を迎えている来談者が、自らの生き方を模索し、選択することができるように支援します。つまり、カウンセリングを受ける人の「同伴者」として、ともに歩むための方法がカウンセリングであるといえます。

カウンセリングを行う際に重要なこと
 次に、平木先生はカウンセリングを行う際に重要なことについて説明されました。
それは、来談者の方の立場や思いをしっかり理解することです。
カウンセラー個人の価値観や考え方で判断をするのではなく、相手のことを相手の視点で理解しようとする姿勢が大切です。これを、心理学の専門的な言葉では、「共感的理解」といいます。
 では、「共感的理解」しているカウンセラーは、どのようにしてカウンセリングを進めていくのでしょうか。
 重要となるのは、相手の話を「きく」ことです。「きく」には2つの「きく」があると平木先生は言います。
 1つめは、「聴く」です。これは、「相手の話の内容と相手の気持ちを相手の身になって聴くこと」です。共感的理解をするための「きく」であるといえます。カウンセラーは、話している相手の思いを受け止め、ありのままの姿に理解を示します。話し手は、自分の気持ちを言葉にすること、そのことを共有してくれる人が存在することで、自分のことを客観視することができます。すると、問題を解決するための筋道が見えてくるのです。
 2つめは、「訊く」です。これは、わからないことを相手に問いかけるための「訊く」です。「訊く」は、「開かれた質問」と「閉じた質問」にわけることができます。「開かれた質問」は、「どのように…?」など、答えが「はい」「いいえ」で返ってこない質問のことです。一方、「閉じた質問」は「…しましたか?」など、簡単な単語や「はい」「いいえ」で返すこ
とのできる質問です。
 「訊く」ことは、「唯一無二のあなたのことを無知な私に教えてください」と謙虚な気持
ちで問いかけることで、話を展開させたり、より深く理解したりするための問いかけであるといえます。

 このように、カウンセラーは、ただ相手の話を聞くだけではなく、共感して聴いたり、話し手の力を引き出す質問をしたりすることで、相手の成長を促すことになると平木先生は説明されました。

 参加者からは、「自分のきき方をふり返ることができた」「今後のカウンセリングに活かしていけると思った」等の感想をいただきました。参加者にとって、自己をふり返る貴重な学びの場となりました

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