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心理教育相談所レポート

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【2018/09/21】

教員のための心理学講座Ⅳ 保護者との関係をどう作るか
~普通の人をモンスターにしてしまわないために~

 
令和元年921日(土)に、「教員のための心理学講座Ⅳ」を開催しました。
 講師は、本大学心理・福祉学部心理学科 北村世都准教授でした。

 今年度は「保護者との関係をどう作るか」というテーマをとりあげました。
 児童・生徒だけでなく、その保護者とより良い関係を作ることは、教員にとって必要不可欠です。しかし、どうやって関係づくりを進めれば良いか悩む教員も少なくありません。
 本講座では、保護者と接する上で重要となるポイントについて、解説されました。

保護者の話を聴くために大切なこと
 北村准教授は、保護者の話を聴くにあたり、まず人の心理のとらえ方について以下のようにお話されました。
 ここでは人の心理を、「感情」と「認知」の2つの側面からとらえることにします。
感情とは、喜怒哀楽などの反応のことを指します。一方、認知とは、ものごとを知的に理解したり論理的に判断したりすることを指します。
 傾聴するということは、相手から見て自分の「感情や認知が理解された」と感じられるように話を聞くことですが、その際、認知よりも先に「感情が理解された」と感じるとじると、冷静さを取り戻し、論理的に物事を理解しようとするようになります。そのため、まずは最初から説明や説得をして知的理解を求めるのではなく、保護者の話を否定せず充分に聴き、感情を理解していることを相手に伝えるよう努めることが大切です。
充分に理解したことは、言葉以上に、表情やしぐさ、姿勢などの非言語的メッセージで伝えるように心がけます。さらに、相手の努力しているところなどの良い面を探して、それも併せて伝えます。

重要となる面接技術
 では、保護者と話をする上で活かせる技術にはどのようなものがあるでしょうか。
 北村准教授は、大きく分けて4つの技術についてお話されました。

1つめは、「感情が分かってもらえた」と思ってもらえる非言語的表現を増やすことです。例えば、前傾姿勢で話を聴いたり、対面を避けた座り方をしたりする等があげられます。

 2つめは、保護者と初めて会うときに、上下関係をゆるめるような声のかけかたをすることです。
例えば、保護者に依頼することは少なくする、慇懃無礼な態度は避ける、個人的な意見には「私は~と思います」等主語をつけて話し、その後保護者の意見を聴くなどです。

 3つめは、「できること」と「できないこと」を明確に伝えることです。対応できる時間についても伝え、必要以上に長時間の面談は避けるようにします。

 4つめは、「感情制御」をすることです。
 感情制御とは、「自分に生じた、あるいは生じそうになっている感情を、自らコントロールする」ことです。例えば、否定的な感情を収束させるために、「もう終わり」と言葉にしたり、感情を収めるための儀式的な行動をしたりします(例:入浴、カラオケなど)。また、自分の良い面や得意な面を書き出したりするのも1つの方法です。

ケースメソッドによる事例検討
 本講座の終盤では、模擬事例として、教員自身を主人公にした保護者への対応事例を取り上げ、自分が模擬事例の教員であれば、どのような対応をするか、参加者同士で意見を発表しました。これまでの講義で学んだことや、自らの考えを踏まえた建設的な意見が数多く発表されました。
これから教員として働く上で、多くの方にとって参考となる講座であったと思います。

 聖徳大学心理教育相談所では、これからも教員の皆さまを対象とした講座を開催する予定です。どうぞご期待ください。

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